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新潟地方裁判所 昭和43年(わ)157号 判決

本店所在地

新潟市本町通六番町一、一三一番地

株式会社 坂内商店

右代表者代表取締役

坂内吉太郎

坂内由郎

本籍および住居

新潟市本町通六番町一、一三一番地

会社役員

坂内由郎

大正一三年六月二四日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官斎藤正吉出席のうえ審理をして次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金二〇〇万円に処する。

被告人坂内由郎を懲役四月に処する。

被告人坂内由郎に対しこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告会社および被告人坂内由郎の平等負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は資本金九〇〇万円を有し、本店を新潟市本町通六番町一、一三一番地に置き衣料品などの卸小売業を営んでいる株式会社であり、被告人坂内由郎は被告会社の代表取締役としてその業務全般を統轄していた者であるが、被告人坂内由郎は被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、

第一、昭和三九年七月一日から昭和四〇年六月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際の所得は三、二九一万一、三二〇円、その正規の法人税額は一、一八二万〇、六〇〇円であつたにもかかわらず、売上金額の一部を除外して簿外預金にするなどの不正の行為により所得の一部を秘匿したうえ、昭和四〇年八月三一日所轄新潟税務署において同税務署長に対し、右事業年度における所得金額は一、五八六万三、三三七円、その法人税額は五五一万四、五一〇円である旨虚偽の確定申告書を提出して法定の納付期限を徒過し、もつて被告会社の右事業年度の前記の正規の法人税額と右確定申告した法人税額との差額六三〇万六、〇〇〇円(一〇〇円未満切捨て)につき法人税を免れ、

第二、昭和四〇年七月一日から昭和四一年六月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額は三、〇二二万七、二六八円、その正規の法人税額は一、〇四三万五、七〇〇円であつたにもかかわらず、前同様の不正の行為により所得の一部を秘匿したうえ、昭和四一年八月三一日所轄新潟税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額は一、七三四万五、九〇九円、その法人税額は五七九万九、九五〇円である旨虚偽の確定申告書を提出して法定の納付期限を徒過し、もつて被告会社の右事業年度の前記の正規の法人税額と右確定申告した法人税額との差額四六三万五、七〇〇円(一〇〇円未満切捨て)につき法人税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告会社代表取締役兼被告人坂内由郎の当公判廷における供述

一、右坂内由郎の検察官に対する各供述調書

一、右坂内由郎に対する大蔵事務官の各質問てん末書

一、右坂内由郎作成の各答申書

一、被告会社代表取締役坂内吉太郎に対する大蔵事務官の各質問てん末書

一、右坂内吉太郎作成の答申書

一、登記官作成の被告会社の登記簿の謄本

一、大蔵事務官作成の証明書二通(昭和三九年七月一日から昭和四〇年六月三〇日までおよび同年七月一日から昭和四一年六月三〇日までの事業年度分の各確定申告書写添付)

一、大蔵事務官作成の株式会社坂内商店法人税脱税額計算書二通

一、清野一郎、児島健二、斎藤真衛、山田成一、吉村晋、木村喜作、白鳥敏之、島幸俊、丸山八郎作成の各答申書

一、星野元昭、餞城三郎、坂内弘、坂内和雄に対する大蔵事務官の各質問てん末書

一、山田成一、宮島敬一、小幡鉦治作成の各供述書

一、押収してある

1. 第七期資産負債一綴(昭和四三年押第七三号の一)

2. 第八期資産負債一綴(同号の二)

3. 第九期資産負債一綴(同号の三)

4. 第七期経費銀行現金一綴(同号の四)

5. 第八期経費銀行現金一綴(同号の五)

6. 第九期経費銀行現金一綴(同号の六)

7. 第七期たな卸表二綴(同号の七の一、二)

8. 第八期たな卸表二綴(同号の八の一、二)

9. 第九期たな卸表二綴(同号の九の一、二)

10. 棚卸表一冊(同号の一〇)

11. 資産負債調一冊(同号の一一)

(法令の適用)

法律に照らすと、被告人坂内由郎の判示第一および第二の各所為はいずれも法人税法一五九条に該当し、被告会社については被告人坂内由郎が被告会社の業務に関して本件違反行為をしたものであるから判示第一および第二の所為についてそれぞれ右と同一の罰条を適用するほか同法一六四条一項を適用し、以上はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるところ、被告人坂内由郎に対してはいずれも所定刑中懲役刑を選択し、同法四七条本文、一〇条により犯情の重いと認める判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役四月に処し、情状刑の執行を猶予するのを相当と認め同法二五条一項によりこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予し、被告会社に対しては同法四八条二項により各所定の罰金額を合算した金額の範囲内で被告会社を罰金二〇〇万円に処し、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項本文により被告会社および被告人坂内由郎に平等に負担させることとする。

そこで主文のとおり判決する。

(裁判官 渡辺達夫)

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